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腕相撲(アームレスリング)のコツ・技・鍛え方と適切なトレーニング器具を元日本代表が解説


腕相撲(アームレスリング)に勝ちたい、強くなりたい、という気持ちは身体を鍛えている男性なら誰しもが持っているものです。

しかし、腕相撲は単なる力比べではなく、特にアームレスリングのテクニックを使う相手には自分の力がいくら強くても勝てなかったりするものです。おそらく、そのような悔しい経験のあるトレーニーの方も少なくないのではないでしょうか?



そこで、本記事ではアームレスリングの技を使って、素人同士の腕相撲に簡単に勝てる方法を解説するとともに、技の種類とそれに対応した鍛え方、それぞれに適切なトレーニング器具を、アームレスリング元日本代表(アジア選手権3位)で、現日本アームレスリング連盟常任理事・レフリー委員長である筆者がご紹介します。

アームレスリングの技を使えば簡単に腕相撲に勝てる


まずは、この動画をご覧ください。筋骨隆々のヘビー級ボディービルダー(左側)と中量級のアームレスラー(右側)のエキシビションマッチです。

筋力は基本的に筋肉の体積に比例しますので、純粋な筋力としてはボディービルダーのほうが強いと推測されます。しかしながら、力で劣るはずのアームレスラーは余裕の表情で受け止め、楽々と勝ってしまいます。

これは、アームレスリングのテクニックを全く知らないボディービルダーと技を熟知しているアームレスラーの技術の差です。

なお、このエキシビションマッチでアームレスラーが使っている技は「トップロール(吊り手)」と呼ばれるもので、相手の指先を捕らえることで力が発揮できないようにするテクニックで、筋力の差があっても技が決まれば勝ててしまう技です。

ですので、「腕相撲に勝ちたい!」と思う方がまず身につけるべきテクニックがトップロール(吊り手)と言えます。

なお、アームレスリングには、このトップロール(吊り手)のほかにフック(噛み手)やサイドプレス(横倒し)と呼ばれる技もありますので、順に解説していきます。

腕相撲(アームレスリング)の吊り手(トップロール)のやり方とトレーニング器具


最初に、吊り手・トップロールのやり方を解説します。また、あわせて最適なトレーニング器具もご紹介します。

まずは、こちらの動画をご覧ください。吊り手・トップロールの模範的な動きです。

吊り手・トップロールの構え方


腕相撲・アームレスリングの構え方で重要なことは、腕を体幹に固定するため「肘を肩より内側に置く」ことと、最も効率的に身体の力を拳に伝えられるように「肘は直角で固める」ことです。

なお、技の軌道上の理由で、トップロールはフックと比べて「より内側に肘を置く」ことがポイントです。

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吊り手・トップロールはテコの原理



吊り手・トップロールの初動を一言で表現すると「肘を支点としたテコの原理で相手の指先を吊り上げる」です。

この初動が決まると、相手は指先を取られてしまい力を発揮することができなくなります。

倒すためにはプロネーション


吊り手・トップロールの初動で相手の指先を捕まえたら、その次に自分側に引きつけて、より有利なポジションをとります。

この時に注意しなくてはいけないのが、「ただ引くのではなく、肘を支点に肩を落としてテコの原理で斜め後方・上方」に引き上げることです。

このポジションがとれたら、半ば勝った状態となり、ここから倒していきますが、まっすぐ倒すと反撃される場合がありますので、相手の手の平が上向きになるように、自身の前腕を回内(プロネーション)させながら倒していきます。


具体手には、この図のように三次元軌道で「つ」の字を描くように技を決めます。

吊り手・トップロールに必要な手首の力



トップロールに必要な手首の力は大きく二つで、一つは「手首を立てる外転力」、もう一つは「手首を捻る回内回旋力」です。

手首を立てる力は、アームレスリングの用語でヘッドの力と呼ばれています。

また、手首を捻る力は一般的にプロネーション力と呼ばれています。

前腕筋群の構造と作用


構造

前腕伸筋群と前腕屈筋群に部位わけされます。

前腕屈筋群

円回内筋(musculus pronator teres)
橈側手根屈筋(musculus flexor carpi radialis)
長掌筋(musculus palmaris longus)
尺側手根屈筋(musculus flexor carpi ulnaris)
浅指屈筋(musculus flexor digitorum superficialis)
深指屈筋(musculus flexor digitorum profundus)
長母指屈筋(musculus flexor pollicis longus)
方形回内筋(musculus pronator quadratus)

前腕伸筋群

腕橈骨筋(musculus brachioradialis)
長橈側手根伸筋(musculus extensor carpi radialis longus)
短橈側手根伸筋(musculus extensor carpi radialis brevis)
回外筋(musculus supinator)
尺側手根伸筋(musculus extensor carpi ulnaris)
総指伸筋(musculus extensor digitorum)
小指伸筋(musculus extensor digiti minimi)
示指伸筋(musculus extensor indicis)
長母指伸筋(musculus extensor pollicis longus)
短母指伸筋(musculus extensor pollicis brevis)
長母指外転筋(musculus abductor pollicis longus)

引用:Wikipedia「前腕筋」

作用

主に手首関節の屈曲(掌屈)・伸展(背屈)・外転(橈屈)・内転(尺屈)・回内・回外の作用を持ちます。

吊り手・トップロールのトレーニング器具

EACアームシャーク



トップロールに最適なトレーニング器具がこちらのアームシャーク(プロネーションハンドル)です。

回内回旋力を鍛えるプロネーション動作だけでなく、ヘッドを立てる力を鍛える動作でも使えます。


具体的な使い方は、こちらのEAC公式動画をご覧ください。

腕相撲(アームレスリング)の噛み手(フック)のやり方とトレーニング器具


次に、腕相撲・アームレスリングの技の一つである噛み手・フックのやり方を解説します。また、あわせて最適なトレーニング器具もご紹介します。

まずは、こちらの動画をご覧ください。噛み手・フックの模範的な動きです。

噛み手・フックの構え方


腕相撲・アームレスリングの構え方で重要なことは、腕を体幹に固定するため「肘を肩より内側に置く」ことと、最も効率的に身体の力を拳に伝えられるように「肘は直角で固める」ことです。

なお、技の軌道上の理由で、フックはトップロールと比べて「より外側に肘を置く」ことがポイントです。

噛み手・フックは落として絞る


噛み手・フックの初動を一言で表現すると「相手の拳を低い位置に落としながら引きつける」です。

この初動が決まると、相手は拳が下敷き状態となり力を発揮することができなくなります。

具体的には、真横に肘をスライドさせながら自分の手の平が手前を向く方向に滑りこませ、同時に自分の小指側を相手の手首にぶつけるようにして相手の拳を下敷きにします。

噛んだら背中で引きつける



噛んだら(相手の拳を下敷きにしたら)、次にさらに有利になるように引きつけますが、この時に腕の力だけで引こうとすると肘の角度が開いてしまい逆転を許してしまいます。

ですので、腕を体幹にしっかりと固定し、背中で引きつけることが大切です。



最後に斜め後方に向けて親指をねじこむように手首を捻って倒しますが、この感覚が「雑巾を絞るイメージ」に近いため、アームレスリングではこの動作を「絞る力」と呼びます。

噛み手・フックに必要な手首の力



フックに必要な手首の力は、大きくは二つあり、一つは手首を曲げる(屈曲)させる力で、特に薬指〜小指からストロークする力が要求されます。

もう一つは回外回旋(スピネーション)で、相手の拳を下敷きにする動作で重要となります。

噛み手・フックのトレーニング器具



噛み手・フックのトレーニングに非常に有効なのが、こちらのデボンカッピングツールです。

本トレーニング器具は、フックの名手として名高いアームレスリング世界チャンピオン「デボン・ララット」が考案したもので、世界的にも評価の高いトレーニング器具です。

具体的にはストラップが小指側にくるようにカップを握り、実際の握りに近くなるよう親指をカップの中に入れます。

そして、小指側のストロークでストラップを巻き取るように手首を曲げて鍛えていきます。

腕相撲(アームレスリング)の横倒し(サイドプレス)のやり方とトレーニング器具

最後に、腕相撲・アームレスリングの技のなかでも、パワーが高い次元で要求される「横倒し・サイドプレス」のやり方を解説します。あわせて、最適なトレーニング器具もご紹介します。

まずは、この動画をご覧ください。アームレスリング全日本チャンピオンが決めた横倒し・サイドプレスの動画です。

横倒し・サイドプレスは腕の固定が最重要



横倒し・サイドプレスはテクニックよりもパワーのほうが重要となる技で、腕をしっかりと体幹に固定し、軸足の踏み込みを拳にロスなく伝導させ、一気に一直線に相手を倒します。

まず、力の伝わる順ですが、①軸足の踏み込み→②体幹→③拳となります。

この一連の動作のなかで力をロスするポイントが3箇所あり、それが、①肩の固定、②肘の固定、③手首の固定で、これらのいずれかが攻撃力に負けてしまうと相手に力を伝えられず自爆的に負けてしまいます。

なお、それぞれの固定に必要な筋肉は以下のようになります。

①肩の固定

大胸筋(だいきょうきん)

ラテン名:Musculus pectoralis major
英語名称:Pectoralis major



腕相撲(アームレスリング)においては上腕を体幹に固定するための前側の筋肉として働きます。

大胸筋は胸腕筋に属する体幹上部前面に位置する筋肉で、肩関節の水平内転・屈曲・内転・内旋の作用を持ちます。

筋力トレーニングの動作としては、主に腕を前に押し出し閉じる働きがあります。また、上部・内側・下部に部位わけされます。

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大胸筋の構造とトレーニング種目

三角筋(さんかくきん)

ラテン名:Musculus deltoideus
英語名称:Deltoid muscle



腕相撲(アームレスリング)においては、前部は大胸筋と協働し、後部は広背筋と協働して上腕を体幹に固定する働きをします。

三角筋は上肢帯筋に属する上腕最上部に位置する筋肉で、肩関節の外転・屈曲・伸展の作用を持ちます。

筋力トレーニングの動作としては、腕を上・前・横・後ろに持ち上げる働きがあります。また、前部・中部・後部に部位分けされます。

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三角筋の構造とトレーニング種目

広背筋(こうはいきん)

ラテン名:Musculus latissimus dorsi
英語名称:Latissimus dorsi muscle


腕相撲(アームレスリング)においては上腕を体幹に固定するための後ろ側の筋肉として働きます。

広背筋は棘腕筋に属する体幹背面に広く位置する筋肉で、上腕内転と内旋・体幹の伸展と回旋・肩関節の伸展と内転と内旋・肩甲骨下制・骨盤挙上の作用を持ちます。

筋力トレーニングとしては、腕を上方・前方・下方から引き寄せる働きをします。また、上側部・中央部・下部に部位分けされます。

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広背筋の構造とトレーニング種目

②肘の固定

上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)

ラテン名:Musculus triceps brachii
英語名称:Triceps brachii muscle



腕相撲(アームレスリング)においては肘を固定するための外側の筋肉として働きます。また、脇をしめる作用もあります。

上腕三頭筋は上腕伸筋群に属する上腕背面に位置する筋肉で、前腕伸展・上腕内転の作用を持ちます。

筋力トレーニングの動作としては、肘を伸ばす・脇を閉じる働きがあります。また、長頭・短頭(内側頭・外側頭)に部位分けされます。

上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)

ラテン名:Musculus biceps brachii
英語名称:Biceps brachii muscle



腕相撲(アームレスリング)においては、肘を固定するため内側の筋肉として働きます。また、前腕を回外回旋させる作用もあります。

上腕二頭筋は上腕屈筋群に属する上腕前面に位置する筋肉で、前腕屈曲と回外の作用を持ちます。

筋力トレーニングとしては肘を曲げる・前腕を捻る働きをします。また、長頭と短頭に部位わけされます。

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上腕二頭筋の構造とトレーニング種目

③手首の固定

前腕筋群(ぜんわんきんぐん)

ラテン名:musculus antebrachii
英語名称:Forearm muscle



前腕筋群は19の筋肉から構成され、主に手首関節の屈曲(掌屈)・伸展(背屈)・外転(橈屈)・内転(尺屈)・回内・回外の作用を持ちます。

筋力トレーニングとしては手首の曲げる・伸ばす・捻る働きがあります。また、前腕伸筋群と前腕屈筋群に部位わけされます。

横倒し・サイドプレスは筋トレで強化する

ここまで解説してきたように、横倒し・サイドプレスは「筋肉の技」とも言え、筋力が最重要となりますので、とにかく筋力トレーニングを実施していくことが大切です。

以下に、特にサイドプレスに重要となる自宅トレーニング種目をご紹介しておきます。

引く筋トレのマストアイテム

腕相撲にもっとも大切な筋力トレーニングは、やはり「引く動作の筋トレ」です。

そして、引く動作の筋トレでよくある問題が「手が先に疲れて背中を追い込めない」というものです。特にトレーニング初心者に起こる問題です。

この問題を解決するために、ざまざまなトレーニンググッズが考案されていますが、実際に当代理店で取り扱っている製品をご紹介します。

リストストラップ



引く動作の筋トレのもっともスタンダードな補助アイテムがリストストラップです。輪を手首に通し、ストラップ部分をシャフトやバーに巻きつけて使用します。当代理店のオリジナルリストストラップは、北米に大きなシェアを持つV-TRUST社製のリーズナブルな高品質製品で、手首の擦れを防ぐウレタンパッドが装備されているのが特徴です。

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パワーグリップ各種



装着が簡単で、スムーズなトレーニングと握力の補助を両立するグッズがパワーグリップですが、当代理店では、リーズナブルなのに高品質なことで知られ、北米を中心に人気となっている新ブランド「LARA★STAR」の各種パワーグリップを取り扱っています。

ラバータイプ、ストラップタイプ、フックタイプの3種類があります。補助力の強さとしてはフック>ストラップ>ラバーです。

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フックタイプ



ストラップタイプ



ラバータイプ



また、このほかにも国内トップブランドの一つであるGLFIT製パワーグリップも取り扱っています。

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特殊ストラップ



完全に握力がなくなり、手が離れてしまってもバーベルやダンベルを落とすことのない、屈強な補助力が魅力の補助アイテムがループタイプのストラップです。

当代理店では、LARA★STAR製のダブルリストストラップとONI製の鬼エイトストラップを取り扱っており、どちらも高い人気を誇っています。

▼製品を見てみる



横倒し・サイドプレスのトレーニング器具



横倒し・サイドプレスに最適なトレーニング器具がこちらのハンドカッピングツールです。

通常のローラーと違い、手の甲がストラップで固定されるため「手でローラーを握りしめる」必要がなく、高重量でサイドプレスの動作に専念できることが特徴です。

また、グリップ部分が四角形になっており、より実戦に近い握りでトレーニングすることができます。

総合的に使える基本トレーニング器具

EACグリップ




実際に相手の手を握った感覚に極めて近く、技に応じてさまざまなセッティングとトレーニングが可能なEACグリップは、実戦的な腕相撲・アームレスリングトレーニングに有効です。


EACリストバー



単純な構造でリーズナブルであるにも関わらず、トップロールからフックまで広い用途で使えるアームレスリングトレーニング器具がこちらのリストバーです。